Zen3をベースに内蔵グラフィックを搭載したAPU、Ryzen7 5700GとRyzen5 5600Gをレビューします。
動画版もあります
目次
仕様
内蔵グラフィックのない通常モデル(5800X,5600X)との比較
5800X | 5700G | 5600X | 5600G | |
コア数 | 8C/16T | 8C/16T | 6C/12T | 6C/12T |
最大クロック | 4.7GHz | 4.6GHz | 4.6GHz | 4.4GHz |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | 3MB | 3MB |
L3キャッシュ | 32MB | 16MB | 32MB | 16MB |
TDP | 105W | 65W | 65W | 65W |
PCIE Gen | 4.0 | 3.0 | 4.0 | 3.0 |
クーラー | × | WraithStealth | WraithStealth | WraithStealth |
実売 | 52,980円程度 | 51,800円 | 39,800円程度 | 36,800円 |
クロックは通常版よりもG付きモデルが若干下がっています。
価格は通常版よりも若干安くなっています。
その他大きな変更点は以下
・L3キャッシュが半減
CPUとメモリの隙間を埋めるL3キャッシュの量が通常版よりも半減しています。
・PCIEが3.0まで
PCIEの接続が最大で3.0までとなっています。
高速なGen4 SSDが3.0動作になってしまいます。
先代の内蔵グラフィック付きモデル4000Gシリーズとの比較
4750G PRO | 5700G | 4650G PRO | 5600G | |
コア数 | 8C/16T | 8C/16T | 6C/12T | 6C/12T |
L3キャッシュ | 8MB | 16MB | 8MB | 16MB |
GPUアーキテクチャ | Vega | Vega | Vega | Vega |
演算ユニット数 | 8 | 8 | 7 | 7 |
GPUクロック | 2.1GHz | 2.0GHz | 1.9GHz | 1.9GHz |
TDP | 65W | 65W | 65W | 65W |
PCIE Gen | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 |
クーラー | × | WraithStealth | × | WraithStealth |
実売 | 46,000円程度 | 51,800円 | 30,000円程度 | 36,800円 |
L3キャッシュの量、5000Xよりは半減していますが4000Gと比較するとそれでも倍です。
そもそもCPUのベースが4000gがZen2なのに対して、5000GはZen2となっています。
価格は10~20%程アップ。
また4000Gシリーズは国内では組み込み向けのPROモデルしかなく、基本的にマザーボードとセットでの販売のみとなっていました。
性能チェック
検証構成
マザーボード | GIGABYTE | B550I AORUS PRO AX |
CPUクーラー | Noctua | NH-U12A |
メモリ | Crucial | BallistixMAX 4400 32GB |
SSD | WD | BLUE SN550 500GB |
電源 | Antec | NE850 Platinum |
ケース | STREACOM | BC-1 |
クリエイティブ性能
Cinebench R23 マルチコア
G付き、かなり通常版に近いスコアを出しています。
5800Xと5700GはTDPの差もあり少しスコア離れていますが、同じTDPな5600Gと5600Xはかなり僅差です。
Cinebench R23 シングルコア
シングルコアは大きめに差が出ます。おそらく最大クロックの差が出ているのかと思われ。
Blender Classroom
Cinebenchのように全コアを使用してCPUによるレンダリング速度を計測します。
Cinebenchマルチに近い結果に。こちらも5700Gと5800Xは10%以上離される形に。それでもかなりG付き頑張ってます。
ゲーム性能(グラボ有り)
こちらはグラフィックボードを使用してのゲーム性能比較。
使用したグラボはPalit RTX3070
グラボが高いのでとりあえず5000G買ってしのぎ、後でグラボを追加するという使い方をした場合の参考にどうぞ。
G付きが2割程度負けてしまっています。
APEXは訓練場でバンガロールのウルトを使った際のフレームレートを比較。
VRAM使用を2GBにして残りは低設定で計測しています。
こちらはそこまで差が出ない。
Fortniteは競技設定(低設定から3D解像度と描写距離を最大に変更)で計測しています。
平均300fpsと十分ではありますが、Xモデルとは大きく離されています。
R6Sはグラフィックの設定から実行できるベンチマークモードで比較。
こちらも同じように十分ながら離されてます。
APEXを除くと大幅にゲーム性能がダウンしています。特に300fpsオーバーなハイフレームだと差が出ています。
これは完全に推測ですが、最大クロックの差というより300fpsオーバーはメモリ速度に影響されやすいのでL3キャッシュ現象の影響を受けやすいのもあるのかもしれません。
ゲーム性能(内蔵グラフィック使用)
内蔵グラフィック機能を使用してのFHDでのゲーム性能を検証。
どれくらい遊べるのか??
APEX Legends
全て低設定+目標fpsを100にしてプレイ
APEXはかなり画質を落としていてもFHDだと辛いです。見た目もかなり落ちます。
Fortnite
競技設定+レンダリングモードをパフォーマンスにしてプレイ
パフォーマンスモードのお陰で割と快適に遊べます。
fpsも見た目も悪くないのでガチで遊ぶのも可能なレベル。
Valorant
デフォルトの低設定にてプレイ
Valorantは非常に軽いこともあり、144fpsを割ることも稀です。
競技レベルで遊べます。
内蔵グラフィックはGT1030と同程度
5700Gの内蔵グラフィック性能はGT1030とほぼ同等だと思われます。
内蔵グラフィックを使用した場合とGT1030を使用した場合の比較を見れば一目瞭然。
演算コア数の差で少し5600Gが負けていますが、大体GT1030が内蔵されていると思えばよいかと思います。
関連:GT1030でAPEX Fortnite Varolantは動くのか ゲーム性能を試す
消費電力
コンセント側でのシステム全体の消費電力を計測しました。
アイドル時
5600G/5700G どちらも30W前後
ロード中 Cinebench マルチコア測定中
5600G 102W
5700G 120W
内蔵GPUにてゲーム中 FF15ベンチ中
5600G 101W
5700G 112W
ゲーム中、内蔵GPUの使用率は上がりますがCPUの使用率は下がるので、結果Cinebench中より低い電力になっています。
プラチナ850W電源を使用しているので、実際の消費電力はこれらに0.9を掛けた程度と思えばよいかと思います。
付属クーラー等での温度
CPUの温度を付属のWraithStealthと定番のNoctua L9aで検証。
室温30℃にてCinebench中の最大温度を見てみます。
WraithStealth使用時
5700G最大温度 95℃
5600G最大温度 88℃
5700GがCPU仕様の最大まで上昇してしまいます。
ベンチ台の上のむき出しの状態でこれなのでケースに入れて使うと考えれば少なくとも5700Gはクーラーを変更したほうがよさそうです。
ちなみに90℃を越えたあたりからクロックが落ちます。
Noctua NH-L9a使用時
5700G最大温度 88℃
5600G最大温度 82℃
どちらも付属クーラー使用時より6~7℃程度低下しました。
5700Gはまだ若干不安な感じがします。虎徹クラスを使ったほうがよさそう。
5600Gはとりあえずこれで行けそうですね。
感想
良い点
・Zen3とあまり変わらないマルチコア性能
・GT1030クラスの内蔵グラフィック
・先代と違い単体購入可能
ダメな点
・グラボ使用時のゲーム性能は大幅ダウン
・内蔵グラフィックは先代と性能変わらず
・価格が結構上がった
・熱い。少なくとも付属クーラーは性能不足
内蔵グラフィックが向上していないのは残念。グラボ高騰時代に多少ゲームできる性能があればかなり売れたかも。
内蔵グラフィックで我慢して後からグラボを買うというプランにしても、ハイフレーム時に5600Xや5800Xにかなり負けてる点もダメ。
やはりゲームをしない人や軽いゲームが動けばよいという人向け。少なくともゲーマーの救世主ではなかった。
ただ、CPU性能自体はゲームしないならかなり強いので小さくて強いPCが欲しい人にはよいですね。
5600Gはお手軽高性能な普段使いPCとして使うのは良さそう。
それでも5700Gは・・・強力ではありますが正直用途が難しいですね。
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