爆熱と噂のIntel i9 10900Kを空冷クーラーで使用可能なのか?
サイズの定番の虎徹から無限5、最強クラスのNoctua NH-U12Aの3種類でどのくらいの温度になるのか試してみました。
目次
10900Kは最強クラスの発熱
先代i9 8C/16Tの9900Kも結構熱いと言われていましたが、10C/20Tと単純にコア数が増え更に若干クロックも上昇した10900Kは発売前から「絶対熱い」と言われていました。
ただ、ダイが薄くなってヒートスプレッダへの熱移動が改良された(Intel曰くですが)等のポジティブな要素もあります。
ちなみにダイとヒートスプレッダの間はグリスではなく9900Kに続きソルダリングだと言われています。(割ってないのでハッキリとは分かりませんが)
対する空冷クーラー達
今回は120mmサイズのファンを使用したクーラーのみを用意しました。
140mmサイズまで行くなら360mm簡易水冷使ったほうがいいのかなと思った為、というのは建前で単に手元にある3つです。
関連:
120mmサイズ最強CPUクーラー「Noctua NH-U12A」をレビュー 虎徹と無限5と比較 – 浅く広くPCゲーミング
サイズ 虎徹Mark2
言わずと知れた空冷クーラーの定番。
実売3,500円でありながら中々冷えるコストパフォーマンスの良さで迷ったら虎徹というくらいに定番。
しかし最近のIntel CPUの上位の発熱には押され気味。
9900Kも厳しかったので多分無理だけど参考までに参戦。
サイズ 無限5
実売6,000円程度。
虎徹より二回り大きい空冷クーラー。
ファンサイズは虎徹と同じく120mm。
ヒートシンクが大きいので期待ができる。
自分は9700Kで使っていましたが問題なく冷えていました。
NH-U12A
実売1.4~1.6万円程度。
Noctuaの高級クーラー。
120mmサイズでは最強クラスに冷えます。しかも静か。
静穏性を捨ててファンを最高回転にすれば140mmクラスに冷えるので並の240mm簡易水冷を凌駕する冷却性能を誇ります。
問題は実売が1.4~1.6万とちょっとがんばれば360mm簡易水冷が買えるくらい高価な事。
テスト環境
テストで使用するパーツ類こちら
CPU Intel Core i9 10900K
マザーボード ASUS ROG Z490 F-GAMING
メモリ GSkill SniperX 3600 8GB×2
電源ユニット Corsair RM1000X
ケース Streacom BC-1
グリス クマグリス Krynout
設定等
CPU関連はクロックを維持するようにBIOSでPL1の時間を延ばしています。
電圧等は特に変更せずすべてマザーボードの自動任せ。
メモリは10900Kの定格である2933MHzでCL17にしてます。
CPUクーラーのファンはすべて全開にしています。
テスト内容
とりあえずシネベンチR20を回して温度を見ます
問題なければR6S,Fortnite等のゲームを実際にプレイ
テスト結果
※テスト時の室温は虎徹は21℃、無限5とNH-U12Aは23℃で行っています。
虎徹Mark2
こちらはシネベンチR20計測中の温度グラフ。
回して数秒で80℃
30秒で90℃
42秒で95℃に到達しました。
このまま回すと97℃でベンチが終わりました。
とても使えたものではありません。
無限5
こちらもシネベンチR20計測中の温度グラフ。
虎徹よりも早く80℃に到達。謎。
しかし80℃に到達後は虎徹よりも上昇が緩やか。
95℃になるのと同時くらいのタイミングでベンチが終了します。
スコアは6273でした。
虎徹よりは温度上昇を抑え込んでいましたが95℃に達してる時点でアウトという感想。
しかし、試しにゲーミングにてテストしたところR6Sでは80℃ジャストに達したりするのが見られたものの、多くのゲームでは70℃中盤くらいで耐えていました。
ゲーミング限定なら使えなくもないが精神的にはよろしくないですね。
NH-U12A
NH-U12AでもシネベンチR20を1回動かしただけで90℃に・・・
複数回連続で回すと92℃まで上昇しました。
ちなみにスコアは6296で無限5より若干上昇。(誤差レベル
無限5よりも大分マシにはなっていますが実用レベルかといわれるとキツイですね。
ただ、ゲーミングなら一番温度の高かったR6Sで75℃程度だったのでゲーム限定で言えば問題ないかも知れません。
それでも何かの拍子にフルパワーになった時を考えると自分はこのままで使いたくないですね。
HTをOFFでゲーム性能落とさず温度を下げる
上で述べたように、ゲーム中は温度がそこまで高くなりませんが全スレッドに負荷をかけると高温になります。
そこでHT(HyperThreading)をOFFにして使うという運用法を提案します。
HTは1コアで複数のスレッドを処理する技術で、これをOFFにすれば10900Kのデフォルトの10コア20スレッドが10コア10スレッドになります。
やり方は簡単。
BIOSに入ってCPUの設定項目にあるHyper Threadingの項目をEnableからDisableに変更するだけです。
変更後、CPU-Zにて確認。ちゃんと10コア10スレッドになっています。
この状態で温度を計測してみましょう。
NH-U12A(CPUのHT OFF)
シネベンチ1回だと今までは一瞬で80℃を越えていたのが最後まで80℃にもいかなくなりました。
非常に扱いやすくなっています。
しかしもちろんスコアは落ちています。
6296→4786
1500程度落ちていますが、9900Kと殆ど互角です。(9900Kは4500~5000くらい)
そしてゲーム性能ですが・・・
FF14ベンチマーク
HT OFFの方が若干スコアがいいです。
何度が試してみましたが、平均して500程度HT OFF側が上回りますね。
R6Sベンチマーク
グラフィック設定にあるベンチマークにて計測
低画質
こちらもHT OFF側が若干上回りました。
OFF側は全体平均が500fps越えますが、ON側は何度か回しても越えませんでしたね。
またベンチ中の温度に関してもHT OFF側の方が低いです。
平均で4~5℃程度下がっています。
最高画質
こちらは殆ど同じ数値に。
ベンチ中の負荷率を見てるとグラフィックボードが先にネックなっていて差が少なそうです。
fpsは同程度ですが、温度に関しては低画質と同じくHT OFF側が4~5℃低くなります。
HT OFFにすればゲーム性能をほぼ維持か向上させつつ扱いやすい温度に、かつ9900Kよりもマルチ性能も同等クラス。
特にゲーマーの人ならオススメの設定だと思います。
まとめ:普通に使うには空冷は厳しい
虎徹:無理
無限5:ゲーム限定ならギリギリ。全負荷になると危険(95℃オーバー)
NH-U12A:ゲーム限定なら大丈夫。全負荷になると辛い(92℃オーバー)
NH-U12A(HT OFF):問題なく使用可能
デフォルト(HyperThreading ON)の設定で使うには空冷だと全負荷時に大型クーラーでも90℃に達する場合があります。
ゲームで使う分にはそこまで温度は上がりませんが、それ以外のタスクが重なった時の温度を考えると空冷はオススメしません。
また、NH-U12Aをファン全開で使用した場合140mmサイズの空冷クーラー並みの冷却性能になりますが、それでも90℃を越える事を考えるとNH-D15やCryorig R1等も辛いと思われます。
素直に360mmの簡易水冷を推奨します。(それでも十分かは分かりませんが・・・)
ちなみに室温は最大でも23℃だったので、真夏のことを考えると尚更水冷を推奨します。
多少マルチ性能を犠牲にしても良いという場合はHyperThreadingを切って使えばゲーム性能を維持したまま温度も空冷で冷やせる程度に収まります。
ただ、7.2万円のCPUとして考えた場合には非常にもったいない感じがします。
いっそ最初からHTを排除した10コア10スレッドな10800Kのような製品が6万円くらいであればよいのにと思います・・・
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